
カスタマージャーニーの目的
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入、利用、さらにはリピートや推奨に至るまでのプロセスを可視化したものです。近年、デジタルマーケティングの発展により、企業が顧客の行動や心理を詳細に分析し、最適なアプローチを行うことが求められています。
カスタマージャーニーを作成する目的は以下の通りです。
- 顧客視点の理解
顧客がどのような課題を抱えているのか、どのような経路で情報収集を行うのかを把握できます。 - 効果的なマーケティング施策の設計
顧客が求める情報を適切なタイミングで提供し、コンバージョン率を向上させることができます。 - 顧客体験(CX)の向上
顧客がスムーズに購入や利用を進められるよう、ボトルネックを特定し、改善できます。
カスタマージャーニーの作り方
カスタマージャーニーを作成する際には、以下のステップを踏みます。
1. ペルソナの設定
カスタマージャーニーを作成するには、まずターゲットとなる顧客の詳細なペルソナを設定する必要があります。ペルソナには、以下の情報を含めるとよいでしょう。
- 年齢・性別・職業
- ライフスタイル
- 課題やニーズ
- 情報収集の手段
2. カスタマージャーニーのフェーズを決定
顧客の行動を段階ごとに整理します。一般的なカスタマージャーニーのフェーズは以下のようになります。
- 認知(Awareness):商品やサービスを知る
- 興味・関心(Consideration):情報を収集し、比較検討する
- 購入(Purchase):実際に購入する
- 利用(Usage):商品やサービスを利用する
- 共有・推奨(Advocacy):満足度が高ければ他人に推奨する
3. タッチポイントの洗い出し
各フェーズで顧客が接触する可能性のあるチャネルやコンテンツをリストアップします。
例:
- 認知フェーズ:SNS広告、ブログ記事、口コミ
- 興味・関心フェーズ:商品ページ、レビューサイト、比較サイト
- 購入フェーズ:ECサイト、実店舗
- 利用フェーズ:カスタマーサポート、取扱説明書
- 共有・推奨フェーズ:SNS投稿、レビュー投稿
4. 課題と改善策の分析
各フェーズで顧客が感じる不安や課題を洗い出し、それに対する解決策を考えます。
5. カスタマージャーニーマップの作成
顧客の行動、感情、タッチポイント、課題、改善策をまとめ、カスタマージャーニーマップとして可視化します。
カスタマージャーニーマップ例
ペルソナ設定
- 名前: 佐藤美咲(32歳・女性)
- 職業: IT企業勤務・リモートワーク中心
- ライフスタイル: 1LDKのマンションに一人暮らし。おしゃれな家具に興味があるが、忙しくて店舗に行く時間がない。
- 課題: 部屋に合うソファを購入したいが、サイズ感や座り心地がわからず不安。
カスタマージャーニーの各フェーズ
ステージ | 顧客の行動 | 顧客の感情 | タッチポイント | 課題・障壁 | 改善策 |
---|---|---|---|---|---|
認知 | SNSでおしゃれな部屋の写真を閲覧 | ワクワク・憧れ | Instagram、YouTube、ブログ | どのブランドの家具が良いかわからない | SNS広告やインフルエンサーの活用 |
情報収集 | 「おしゃれ ソファ おすすめ」で検索 | 興味・比較 | 公式サイト、口コミサイト | 口コミがバラバラで決められない | 具体的な購入者レビューの掲載 |
購入検討 | サイズや色を比較しながらカートに追加 | 期待・不安 | 商品ページ、チャットサポート | 実際の質感や座り心地がわからない | ARシミュレーション、無料サンプル生地送付 |
購入 | オンライン決済を完了 | 安堵・満足 | ECサイト、注文確認メール | 配送日数がわからず不安 | 明確な配送スケジュールの通知 |
体験・利用 | 届いたソファを設置・使用 | 満足・やや不安 | 商品、取扱説明書 | 組み立てが難しい場合がある | 動画マニュアルの提供 |
共有・推奨 | SNSで部屋の写真を投稿 | 喜び・共有欲求 | Instagram、レビューサイト | 他人に勧める理由が明確でない | 購入者限定クーポン配布 |
まとめ
カスタマージャーニーは、顧客の行動を深く理解し、より良いマーケティング戦略を立案するための重要なツールです。ペルソナを設定し、各フェーズでの課題を明確にすることで、効果的な施策を打ち出すことができます。今回のカスタマージャーニーマップの例を参考に、自社の商品やサービスに適したジャーニーを作成し、顧客満足度の向上を目指しましょう。